子どものように感じ取り大人として行動せよ
れんげ舎代表の長田英史です。きょうはれんげ舎の社訓といいますか、行動指針といいますか、社内で大切にしている言葉を紹介します。なぜ、こうした行動指針が生まれたかというと、社会にフィットすることは大事だけれど、自分らしさを犠牲にしては意味がないからです。
(*)れんげ舎では、社訓や行動指針をみんなで作ります。僕は対外的には代表者ですが、内部では他の人と同等の権限しか持っていません。れんげ舎は設立以来25年間、ずっとフラット型の組織です。大事なことは全員で話し合って決めています。
「ありのまま最強説」を提唱しています
兼ねてから提唱している「ありのまま最強説」。本当は強い弱いの問題ではないのですが、分かりやすいので「ありのまま最強!」と言っています。どういうことなのか、説明しますね。
ありのままの自分を押し殺して嘘の自分を演じていると、それだけで疲れます。心にもないことを言い続けたような集まりの後って、ぐったり疲れますよね。座っているだけでエネルギーが落ちていきます。
仮にそこが会社ならどうでしょう。エネルギーが落ちた人々が集まり、空気を読み無難な言葉だけが行き交う職場で、イノベーションとか生産性とかメンタルヘルスとか、語るだけでも馬鹿らしくないですか? これは会社に限らず、学校や家庭、全てのコミュニティに共通する話です。
人はありのままの自分としてふるまうとき、最高の生産性を発揮します。
とはいえ、ただ無秩序に各々が動き始めたら、組織は回ならくなります。
それに対する答えが、今回紹介している「子どものように感じ取り、大人として行動せよ」です。
まずは子どものようにまっさらに感じることから
本来「感じる」ということに大人も子どももありません。
でも、感じた瞬間にそれを否定して打ち消してしまったり、思考し過ぎて感じていることに注意を払わなくなったり、大人っていろいろ忙しい。だからこそ、
子どものように感じ取れ!
と社内で言っています。まっさらに、良いとか悪いとかいうジャッジを留保して、ありのままを感じ取る。人は自分の感じることを選べません。仮に心が壺みたいなものだとしたら、蓋を開けてのぞき込むともうそこに入っている──それが感じたことだからです。
あらゆる身体感覚、直感、違和感やもやもや、インスピレーション。それらばすべて「感じる」ことに含まれています。その人の身体がセンサーとなり、キャッチしたそれらは、その人がその人であるためにすごく重要です。
さて、問題はその「感じ取ったこと」をどう活かすかです。
他者・組織・社会とつながるため大人として行動する
いつでも本当に感じたそのままに行動すれば、社会生活は困難です。
スーパーのお惣菜コーナーで「わ、美味しそう!食べたい!」と思って、すぐに食べると…? 警備員に囲まれますよね。社会生活を営む大人なら、レジに持って行って精算し、その後で食べます。
感じたことを行動に移すためには、「考えて決める」という意志決定プロセスが必要です。先の例はあまりに卑近ですが、感じたままに即行動出来ない状況が多いのは事実です。でも、だからといって、感じたことに価値がないと考える必要はありません。
与えられた正解を出すのではなく、自分の感じたことありのままを肯定・尊重し、その上で考えることこそが重要です。
ありのままの自分で世界とつながろう
自分の感じたことに気付いても、それがどんなに素敵で大切なことでも、それを行動につなげなければ社会的にはゼロです。自分も自分の周囲も、何も変わりません。
多くの大人は、感じたことをスルーして暮らしています。
れんげ舎の子どもの活動では、よく話し合いをします。多くの子は、最初はあまり自分から意見を言いません。日が浅いことによる緊張もあるけど、自分の出した意見が尊重され集団の決定に関与出来た経験が希薄なのです。
それでも、話し合いで自分の意見を言い、それが尊重される体験が積み重なると、他の人の意見をよく聞くようになります。自分の好みだけでなく「どうしたらみんなで楽しめるのか」といった視点も出てきます。
自分の感じたことには価値がある──そうした実感が形成されます。自分の感じたことへの信頼、僕はそれこそが自己肯定感の礎だと考えています。
あなたの感じ取ったことを世界は待っている
感じたことをスルーする。個人的損失であると同時に、社会的損失です。
例えば組織活動のなかでだれかが感じた違和感は、その場にある「何か」を反映しています。それを丁寧に取り扱えば、その場にギフトがもたらされます。イノベーションはそこから生まれます。
人が自分らしく存在することを尊重すると、場には非常に大きなエネルギーが生まれます。場はそれ自体が生きもので、一部の支配者にとって都合のいいようにコントロールすることは出来ません。
だから、経営者のみなさん、最高の生産性を発揮させるためにありのままの自分として働かせよう! という上から目線じゃダメなんです。あなたがありのままの自分として生き始めることが、起点となります。
この話は、私たちが専門にしている「場づくり®」の領域、組織のアイデンティティと個人のアイデンティティの関係構築というテーマにつながっていきます。この話はまたいずれ。
今後ともれんげ舎をよろしくお願いします
いま、あなたが子どものように純粋に感じ取っていることは何ですか?
わくわくした感じでしょうか、それとも重苦しい感じでしょうか。それがいまどんな姿をしていても、感じ取られたそれらは、自分らしく生きるための鍵となるものです。
れんげ舎note開設1本目は、私たちが大切にしている考え方について書きました。それがどう実践されているのかは、他のメンバーが書くnoteにも表れています。ぜひ、他の記事もご覧になってください。
今後ともれんげ舎を、よろしくお願いいたします。