「家族」って何?を取り出してみたら見えるもの|オープンlabレポート(Dec,2022)
12月17日、東京・中野にある生き方開発labの拠点で、「オープンlab」が開催されました。参加者はおよそ20名。研究開発を担当するlabフェローや、それを支える仲間であるlabメンバー、興味がある方、どなたでも参加いただける場です。
今回の担当は「オルタナティヴ家族」開発室。「家族の現在地と行方〜オルタナティヴ家族を考える」というテーマで開催されました。
「家族関係」の前に「家族」というもの自体を考える
当日の流れは以下の通りです。序盤では「家族」の話をどう扱うか?という話がありました。
「家族」をテーマにというと、家族の中の人間関係、親子の問題、夫婦の問題などにアプローチしてくイメージがあるけれど、そのとき「家族ってこういうものだよね」という常識が前提にあるのでは?ということがあります。
labでは「家族」というもの自体を考えるというアプローチをしていきます。「家族像」自体を取り出して見つめられると、自分が知らずに取り入れていた価値観に気づいたり、自分は何を大事にしたくて何はいらないのかが考えられるようになると考えています。
そんな視点の共有から始まった今回のオープンlab。日本の家族制度の歴史や家族観の変遷、その背景についての研究を発表し、それをもとに参加者みんなで、それが自分の家族観に与えている影響、家族にまつわる悩み、これから考えてみたいことについて話をしました。
「こういうのが家族だよね」って、いつ、どうできた?
研究発表ではまず「家族の歴史」と「日本の家族の実態と意識」を紹介しました。
「夫婦と子どもがいて愛情があり、性別役割分業がある」というよくある家族のイメージは近代社会になってから出てきた考え方で、しかも日本で実態としてこの形が多数を占めるようになったのは高度経済成長期、かなり最近になってできたものだということを紹介しました。
現在の日本の実態としては、核家族よりも、単身世帯と夫婦のみの世帯の合計が半数超えと多く、生涯未婚率も年々増えています。それでも、日本人が家族を求める意識は強く、性別役割分業意識もまだ残っているいうことを、様々な意識調査の結果から紹介しました。
日本の福祉制度や政治が家族に与えている影響は?
続いて、福祉制度と、家族にまつわる政治の動きについて発表しました。
世界の福祉制度の分類からみていくと、日本は国が生活保障を提供してくれる度合いが低く、福祉の提供は家族を前提にされています。つまり日本は生活していく上で、家族が重要な役割を担わされている社会だということです。
政治の動きとしては、「家族」を重視する文化の醸成や様々な施策が行われていることを紹介しました。
あなたの家族観、これから考えてみたいことは?
後半は2グループに分かれて「歴史、福祉制度、政策などは、あなたの家族観に影響を与えているか」「あなたの家族にまつわる悩み、これから考えてみたいこと」について話しました。
「 いわゆる「家族」の形でないといけない気がしていたけど、そうじゃなくていいと気づいて気が楽になった」「目の前の悩みだけでなく、様々なレイヤーがあることがわかって考えやすくなった」などの話が出ました。
まとめ|常識を取り出して眺めるとわかること
家族の歴史や制度などをちゃんと整理してみると、あらためて「家族」を考えるというのには様々なレイヤーがあって、日頃はごちゃ混ぜにして考えているんだな、ということがわかり、今回のディスカッションの中でもそれを実感しました。
今までそれほど深く考えなかった「家族を大事にする」「家族を優遇する」という考え方や施策などが、本当によいのか?もっと違う形はないのかな?など次々と疑問がわいてきます。「オルタナティヴ家族」研究開発では、今後さらに、現状の家族だけでなく新しい取り組みなども調べ、新しい家族像、家族に替わるものを考えていきます!
告知|1月の生き方開発lab
じぶんとつながる2つの場がスタートします
2023年の「生き方開発lab」は、「感じたこと」にもアプローチしていきます。
考えることを担当する「頭脳としてのじぶん」がいるなら、感じることを担当する「身体としてのじぶん」もいます。片方だけでは、じぶんとつながれません。「自分らしく生きる」には、考えたことだけじゃなく「感じたこと」を活用する必要があります。
【1月14日】みんなで話すトークライブ!
「身体という自分との出会い〜鳥山敏子さんと見田宗介さんのワークショップで起こったとんでもないこと」
【1月22日】自分と出会うワークショップ
〜自覚なくやっていることに気付くと、自分の内なる願いが分かります