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主催者の知恵を集めていこう(対談:主催者教育⑥)

【連載対談:みんなでつくる主催者教育】
連載1本目:対談について+「主催者教育」について私たちが考えたこと
連載2本目:主催者が一番ご機嫌
連載3本目:場の均質化の問題
連載4本目:万能な場は存在しない
連載5本目:自治って文化
連載6本目:主催者の知恵を集めていこう

主催者教育の今後について

長田:最後に、この先の計画というか、こういうふうにしていこう、っていう話を3人でして終わろうと思います。今日は、主催者になるってどういうことなのか。個人にとってのメリット、そして社会的なメリットを話してきました。資格ビジネスにして儲けるのではなくて(笑)あくまで教育体系としてオープンソース化できたらという話は前からしているわけですが、お二人の思いや具体的な計画のポイントみたいなものもあれば、教えてください。

森:「主催者教育」って言っても、それぞれ出発点や事業が全然違うし、こういう人たちに向けてやってきたみたいなものもちょっとずつ違っている。知らず知らずやってきたいろいろなプログラムや仕掛けがあるから、それをまずは出し合ったり、経験し合ったり、発信したり、ができたらいいな。

安達:僕は、ノウハウばかりな感じで技術を伝えるような教育ではなくて、その手前にある主催者ってどういう人のことを言うのかとか、どういう思いを持った人なのかを伝えていけるようなプロセスを経てから、今、森さんが言ったようなノウハウみたいなものが伝えられると、背景を知って主催者たる姿勢が分かったうえでがっちゃんこできるな、って思ってます。検索対象にはなりたくないっていう感じ(笑)

長田:ワンテンプレートにはならないってことですね。

安達: 僕らもそれを更新していきたいっていう感じが強いですね。

長田:僕が思うのは、さっきも話した自治的な基礎が欠落した土壌に手法が乱立する状態を是正するために、ベーシックな部分をしっかり作るということです。そうすれば、いろんな人たちが自分らしく使えるようになるはず。でも、上滑り問題とか嘘っぽさの問題っていうのには、真正面から向き合いたい。場づくりって嘘っぽくなったら意味ないですから(笑)

具体的なことで言うと、さっき森さんが言ってくれたみたいに、カフェ型の居場所作りのプログラムをこまちぷらすは持ってるし、コモンビートは本編のミュージカルを作るプログラムや、あれだけの興行を支えて人を大勢集めてっていう裏方の運営ノウハウもたくさんあるし、そこもまさに主催者の知恵。れんげ舎もそういうことを長年やってきています。もちろん我々だけじゃなくて、多くの実践者がいるけれど、それぞれが流派みたいになって分かれちゃってる。これでは発展しづらいし、後生にものこりづらい。

今回たまたま3つのNPOが集まっているんですけど、非営利の人たちを集めようということではなくて、プログラムを持ってる人や組織で協力したい。そして、今日の話でも分かるようにかなり現場主義人たちでスタートしておりますので(笑)学識経験者の方、大学の先生方にもお声掛けして、多くの人が使える形にするために助けてほしいですね。

森:いいですね!

長田:最初は現場での言葉をそれぞれ整理して、ネーミングして、たぶんパッチワークみたいなものになると思うので。全体像として示した時にどうなるのか、っていうところを学識経験者やそういうことに長けてる方に手伝っていただきたい。その後、足りない部分をしっかり埋めながら、いろんな人たちに使ってもらえるような形にしていけたらと思います。

安達:面白そう!

長田:長くなったのでそろそろ終わろうかと思います。話しそびれたこと、最後に言いたいこと、ありますか?

最後に伝えたいこと

森:「社会と関わる必要性が出てくる」って、長田さんがおっしゃったんですね。ああ、そうだなって思って。主催者になるとその必要性が出てくるって結構大きいことだなと思ったし、そこは深めていきたいって思ったキーワードですね。ただみんなで仲良くやりましょうとか、お互い知り合いましょう、っていう場とはちょっと違って。真ん中にある「作りたいもの」なのか、向かう先の何かがあってそこに向かいたいからこそ、得意とか不得意とか関係なく、いろんな人といろんな団体等と繋がらざるを得ない感じが、自分にいろんな影響を与えるんだろうな。今後、そこら辺はもうちょっと深めてみたいなと思いました。

あとは、全体通して今日の構成の中のひとつの柱だと思うんですが、個人に与える影響と社会に与える影響ってすごく大きいなって今日は思ったので。そこは行ったり来たりしながら、個人の力がどれだけ伸びるみたいなプログラムが増えていっても、その個人の集合で考えるだけじゃなくて、社会の中の障壁、それを難しくさせてるものも今いっぱいあるから、そっちの障壁は何だろう?とか、壁が低くなるにはどうしたらいいんだろう?みたいな両方から攻めていけるといいなっていうのも思いました。

安達:僕は長田さんがおっしゃった「感性の貧困化」という言葉ですね。コロナも含めて、人と人との距離感が離れて、かつリモートワークやオンラインになって、そっちの方が簡単だし、イラッとしたらオフにしちゃえば終わりだしみたいな。インスタント化が世の中にはびこってしまっている。そして、コロナも抜けてきて、こういう人間同士の距離感とか、生きてるっていう意味合いでのライブ感みたいなものを取り戻してやっぱり大事にしたいと、その言葉を聞いてすごく感じたところです。

場づくりや主催することもオンラインでできるけど、できるだけ直接会った時の情報量の中でその場をしっかりと組んでいくことや、その時の空気を読めるようになっていくこともすごく大事だと思う。五感がきかなくなって情報を読み取れなくなると、パワポ通りに全て進行し終わりってなっちゃうので。それはワークショップだけじゃなく、生きるということは全てそうだと思う。やっぱり人と一緒にしか生きていけないと思うので、この感覚が弱まっているとしたら、これは非常にまずい。感性を豊かにしていくこと、それは文化とか芸術だけの話じゃなくて、とにかく人と会ってライブでの情報量をちゃんと得て、処理できるようになるっていうのがすごく大事だなと改めて思ったので、主催の人がそれを持ってたら、それは良い場になるのだと思います。自分たちがやってる活動も感性がテーマだったりするので、掛け合わせるとすごく面白そうだなと思いましたし、確かに関西の貧困化が起きて、これは社会課題だと改めて思ったので、今日のキーワードになりました。ありがとうございます。

長田:日本社会には、人をコントロールするためのノウハウが溢れています。人が人をどう管理するのか、支配するのかっていう話ばかり。でも主催するというのは、それとは別の軸です。営利セクター・非営利セクターも関係ない。全然違う観点からの、自分らしい社会参加、それは起業っていう形もあるし、もっと草の根的手作り的なものなど、本当にいろいろなパターンがある。参加者という立場がつまらなくなった人が、主催者側に回ることによって、個人的価値だけでなく社会的価値まで生み出される。そういう様々な取り組みを横断的に支えるベーシックなものがつくれたらと思いました。

安達・森:うん。うん。

長田:ここまで読んでくださって、なんでこの3人なんだ!自分もやりたいぞ!という方は、いますぐご連絡いただければと思います。(笑)そういう方々から、助けてもらう気満々でやっております。今日はどうもありがとうございました!

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